12月27日 棉の布

「棉の布をつくる」そういう想いで制作しています。気付けば、和綿を紡いで、伝統的技法の藍染めを発注し、そうやって出来た糸で織っています。
和綿や本藍染にこだわることについて、最近自問自答しています。こだわりの素材や染めなどの情報が一人歩きして押し付けがましく、出来上がった布の出来を二の次としてごまかしていないだろうか、そんなことも考えます。
もともと私は織りをしたいと思っていました。初めは市販の糸で織っていたけれど、次第に自分の好みの糸を使いたいと思い始め、草木で染めてみたり、和紙を糸にして織る紙布にも挑戦しました。そして結局、綿を紡ぐところにたどりつきました。なぜ綿なのかは、ただ単純に木綿という素材が好きで、いつも身近にあるから、です。
初めは洋綿を紡いでいましたが、すぐに日本の風土に適した日本の綿(和綿)の存在を知り、綿の抱える実情も知り、ますます和綿にはまっていきました。
私は和綿ありきで布づくりを始めたわけではなく、あくまでもつくりたい気持ちが先でした。だから、自分のものづくりに「和綿」を全面に出すことに少し違和感もあります。ただ、布をつくりたい!から始まり、月日を重ね今行き着いたのが和綿の布。制作だけを考えれば正直なところ、もっと自由に素材や色を使えたらつくれるものの幅も広がります。でも、やっぱり、手紡ぎの和綿の布を織ることに魅かれています。
なぜ魅かれるのか、、。今の時代に、和綿という素材を手紡ぎして布を織っていること、またそうやって出来た布について、いろいろ頭の中でぐるぐる考えるのですが、いつも漠然としています。
ただ、何となく感じているのは、リズムを刻んでいる感覚。糸車を回す音。機を織る音。天気の良い日は糸を干し、季節に寄りそって糸を染める。布づくりのリズム。波の音。葉ずれの音。鳥の声、虫の声。雲は流れ、陽は昇り沈む。自然のサイクル、自然のリズム。それらが重なっている心地よさ。
自然からいただいてものをつくる先人の知恵や技、有機的なものである木綿の植物の力、各々のリズムの融合。とても感覚的なものだけれど、それを感じることで、日常と違う時間の流れに身を置くことができるような気がしています。それがとても心地よいのです。
日常と違う時間の流れ。それは例えるなら、水槽でメダカを飼うとか部屋に花を飾るとか、そういうことと似ているのかもしれません。忙しい人でも毎日えさをやったり、花瓶の水を取り替えたり。そのほんのひとときの時間、難しい人間関係も社会的地位も関係ないただの自分がそこにいて、ふっと自分自身に戻るというか、自分自身が時間を刻んでいる。そういう時間を大切にしたいです。
2011年も残り僅か。いろんなことを感じ考え、また新しい年を迎えます。
来年もどうぞ、よろしくお願いします。
